これまでの歩み
INTRODUCTION
キープレイス、唐津新天町パティオ街区
今回対象の再開発エリア=「唐津新天町パティオ街区」は、唐津駅からまちなかに向かっていくところ、商店街の入り口にあたり、まさに「唐津の玄関口」に位置します。唐津のまちなかだけでなく、唐津のいろんな地域へのハブにもなる、唐津の未来の鍵となるキープレイスです。
広さは約1000㎡ほどで、昭和初期までは酒蔵があり、その後は、改装を重ね様々な商店が入店し、唐津中央商店街の一翼を担っていました。しかし、近年、空き店舗が目立ちだし、その後約30年間もの間、再開発など土地の利活用の検討がなされてきましたが、いろんな困難を前に、建物の老朽化が刻一刻と進みました。そして、「このままだと、唐津や商店街の玄関口にある大事な場所が更地になるかもしれない…」という危機の中、地元商店街の皆さんと共に、再開発を考えるプロジェクトが、はじまりました。
私達は、これまで約6年間にわたって、様々な会議や調査を地元の方の皆さんと一緒に実施してきました。
地元の皆さんの様々な思いや意見、アイデアがあり、沢山の意見がぶつかり合いましたが、皆さんの心の根底にあるのは、
「ここがダメになったら商店街が無くなるかもしれない」という危機感と、
「この商店街を、唐津を、元気にして、未来に、子どもたちにまちを残したい、繋げたい」という故郷愛でした。
RESEARCH
商店街の課題とポテンシャル
中央商店街の現状は、ここ15年で4分の1の通行量となっていることに加え、商店街の利用者は中高年の主婦層に限定され消費額も年々減少しています。
一方で、周辺はマンション建設ラッシュ、オフィスビルや早稲田佐賀中学・高等学校の建設などが相次ぎ、まちなかの居住者、通行者は若年化・多様化傾向にあり、新しい顧客を取り込むチャンス、ポテンシャルは大きくなっています。
住民や来街者のニーズ
そんな中、地元住民の皆さんは、中心市街地に対して「買物や飲食ができる商店、商業活性化」、「歴史的・文化的資源を活かした観光施策」の必要性を感じている調査結果があります。
また、商店街の通行者ニーズ調査では、「商店街に欲しい店舗・サービス」として、飲食・カフェ・本屋・映画館・休憩所など、時間消費型の商業複合施設のニーズがあることがわかっています。
今回の再開発プロフェクトでは、来街者ニーズの高かった、飲食店、カフェ、映画館、本屋などの商業店舗、休憩スペースがある他、アンテナショップは、お土産屋さんとして、マルチスペースはイベントスペースとしての機能も果たします。来街者ニーズの高いサービスを提供し、唐津の皆様に広く親しまれる商業複合施設を目指します。
観光ニーズ
そして今、唐津は、観光活性化において絶好の好機にあります。国際空港を兼ねた福岡・佐賀空港からのアクセスは抜群、クルーズ船の入港がはじまり、唐津くんちはユネスコに登録され、「ユーリ!!on ICE」や「花筐/HANAGATAMI」などの独自のアニメや映画の観光コンテンツも揃ってきました。
その成果もあり、佐賀県は2017年、2018年と2年連続でインバウンド宿泊者の伸び率が47都道府県で1位という結果に。しかし、同時に課題も浮き彫りになりました。それは、訪れた観光客の満足度が他県と比べると全体的に低く、課題が浮き彫りになったこと(図1)、「ユーリ!!on ICE」では、唐津に初めて訪れるという若い女性層やインバウンドの新たな観光客を取り込むことができたものの(図2~4)、唐津での宿泊は少なく(図5)、消費が伸び悩んだことです。
もともと食、景観、歴史的建造物、祭りなど豊かな自然と伝統・文化を残す唐津は、国内観光客だけでなくインバウンド誘致のポテンシャルも、とても高いのです。そのポテンシャルを引き出し、唐津全体の活性化に繋げていくためにも、現地での情報発信や体験サービスの充実、若者や長期滞在を好む旅行者向けの宿泊施設をはじめインフラ整備が早急に必要です。
そこで、今回の商業複合施設で最も大きな面積を占めるのが、インバウンドや長期滞在者をメインターゲットとした「簡易宿泊所」です。そして、1Fのブックカフェは、地元住民と旅行者の、または旅行者同士の交流や唐津観光の情報発信をサポートし、全館Wifi、電子マネー決済、多言語サービスを行います。
長年多くの関係者と検討を重ねてきた、唐津新天町パティオ街区再開発プロジェクト。
地元商店街の強い想いと地域住民のニーズに加え、東京オリンピック・パラリンピックの開催を目前に、今、日本は観光産業活性化の絶好の好機にあります。
唐津の皆さんと共に、今回のプロジェクトを通して、まちなかにとどまらず、唐津市全体を元気にし、「住んでよし、訪れてよしの持続可能な発展のできるまち、唐津」を実現したいと思います!